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Team GENERATION - 読み物 - 小説

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小説の場所へようこそ、ここでは運命の書いたお話仕立てのシナリオを載せています。随意作成中のものは本当にいつアップされるかわかりません!そこらへんは本当にご了承ください!なお、この中には18禁コンテンツも含まれます。18禁アイコンがついているものは濡れ場がある文章だと思ってください。




2006年10月2日投稿、小説:運命、イラスト:HEIM、音楽:A5




「んっ、はぁっ……はぁっ……恭ちゃっ……」
祢音の白い肢体が、恭介の目の前で跳ねていた。
自分の部屋に呼ぶと、祢音は決まって、『おねだり』をする。
一人でするよりも恭介と一緒にするほうがとても気持ちいいから、というのが理由らしい。
実際に、恭介も祢音と一緒にするのが気持ちいいから、文句も言えない。
玉のような汗は、祢音の体から弾け飛んで恭介の体にポタリポタリと落ちてくる。
もう、何回目になるだろうか?
一度や二度の繋がりではない。
「祢音、今日も……大分興奮しているようだが」
「んっ、ごめん……。でも、止まらなくてっ……」
確かに、気持ちはいいのだけれど、そろそろなんだか、マンネリのような気がしてきている。
シアにコスプレの衣装でも借りれば、このマンネリも吹き飛ぶかななんてくだらないことを恭介は考えていた。
「恭……ちゃん?」
「ん……あぁ、なんでもない。安心してくれ」
祢音が心配そうに恭介の顔を覗き込んでいた。
不安がらせてしまったかなと、祢音の頬に手をやる。
ゆっくりと、柔らかな頬にとても優しく触れる。祢音はそれが気持ちいいのか、目を閉じて小さな声をあげた。
「むぅ、今日の恭ちゃん……おかしいよ?」
確かに、機嫌は直ったらしいのだが、祢音のどことなく不安そうな表情は変わらない。
恭介のほうは、努めていつもと同じような口調で、祢音の言葉を返す。
「そうか?」
少しだけ、声が上ずっていたかもしれない。
それは恐らく、祢音の膣が急に収縮したのが原因だと、そう思うことにした。
幸い、祢音は対してその辺のことは気にしていないようだった。
「恭ちゃん、なんだか今日、機嫌悪そうだったし……どこか上の空だったところもあったじゃない?何かあったのかな、って……」
別に、何かあったのかと聞かれたら、昨日宗也に会った、としか言えない。
事実、確かに凶月を自分の部屋に置いてからはどことなく落ち着かない。
動きが止まった祢音のことをせかすように、下から軽く突き上げると、祢音も動きを再開させてきた。
単調な動きは、大きな快楽を得られはしないものの、十分な刺激は与えてきてくれる。
「何かってわけでもないが……まぁ、ちょっと家の事情でな」
「うっ……ふっ……昨日の、親戚って人?」
「あぁ、そんなもんだ。ま、俺の家も色々、面倒臭い事情抱えてるんだよ」
恭介のその言葉に、祢音はまた、顔をしかめる。
何かおかしなことを言ったかなと、恭介は言葉を思い返していた。
「私……よくよく考えれば、あんまり恭ちゃんのこと、知らない……」
その瞳は、どことなく泣きそうな表情で、恭介はまたも困ってしまう。
どうにも、その顔は苦手だな、なんて思いながら、腰の動きに合わせて、突く。
「終わったら……」
少しだけ、自分の家のことを語ろうか、なんてそんなことを思って、口にしようとして……やめた。
つかず離れず、来るもの拒まず去るもの追わずが恭介の心情である。
少しでも、自分のことを語るのは苦手だった。
「ねぇ、恭ちゃん……私……」
しかし、そんな、捨てられた子犬のような目で見つめられると、どうにも弱い部分があるのも確かで、どうしようかと悩んだ。
数瞬、呼吸を置いた後で、恭介は息を吐く。
「わかった。少しだけ……だぞ?」
言ってすぐに、祢音の顔がぱ~っと明るく変わった。
上気した頬は笑顔で皺が生まれ、それすらも綺麗に変わってしまう祢音の美しさに、恭介は思わず見とれてしまった。
なんというか……不覚な。
そうそう、恭介が不覚を取ることなどない。滅多に感情を表にしないのが心情だし、裏でも簡単に動揺したりなんてしないはずなのに、どうにも祢音には調子が狂わされる。
……それで嫌悪しないんだから、祢音は不思議な人間だな。
祢音のような人間を、恭介は一人だけ知っている。
偉大なる後輩とでも言えばいいのだろうか。本当に、印象が残っている不思議な人間だ。
祢音も似たような空気はあるけれど、弘樹とは根本的には違う。
男と、女である違いのように……。
祢音は光だとするならば、弘樹は闇……。
彼の本心は伺えない。単純に、考えていることがわかりそうでわからない。そんな不思議な人間が、伊川弘樹という存在だった。
「少しくらい、集中してよぉっ……」
「はぁ、わかった。おねだりには、答えなきゃな」
今までの考えを消して、恭介は祢音の豊満な胸を揉みしだく。
祢音の体を知り尽くしている、とは言わないけれども、そろそろ祢音も絶頂が近いということくらいは、理解できていた。
膣が大きく収縮して、恭介から子種を搾り取ろうとする。
「恭ちゃっ……いい、よね?」
それに答えずに……代わりに、乳首を思い切りつねった。
その衝撃に、祢音の体が大きく反り返る。
「あぅっ、うぅぅっ!」
何度か、ビクンビクンと痙攣した後に、祢音は体を恭介に預けてきた。
祢音の頭を、軽く撫でる。

「よく、がんばったな」

なんとなく、そんな言葉をかけたくなって恭介は珍しく笑顔になった。
祢音は未だに肩で息をついている。すでに、二回は絶頂したはずだ。
体力的にも非常に厳しいものがあったのだろう。すぐに、祢音から安らかな寝息が聞こえてきた。

いつものように、完全に着替えを終えてから、恭介は煙草に火をつけた。
祢音は基本的に煙草の臭いが嫌いだったが、恭介の煙草の臭いは嫌いなどころか、むしろ好きになってしまっている。
それは、ほのかに香る紅茶のせいかもしれない。
「で……何が知りたい?」
自分からそういうのは苦手で、どうにも視線を外してしまう。
ふと見た窓の外には、もうほとんど日が暮れてしまい、薄黒く染まった空だけだ。
祢音はすでに、家に電話をして今日は遅くなる……下手をしたら友達の家に泊まるかもしれないと、そう伝えてある。
だからこのまま泊まっても何の問題もないよと、そうはにかんで言っていた。
そのときと同じ笑顔のままで、祢音は恭介に尋ねてくる。
「恭ちゃんって、家族は何人なの?」
一番、当たり障りのない質問だが、その質問に恭介は答えあぐねた。
「……祖母、祖父、父、母、姉が二人に、下に弟がいた」
え?と、祢音の質問を許さずに、すぐに恭介は答える。
「姉が一人、死んだんだ。もう、6年も前になる」
あっ、と、祢音が少しだけ言葉に迷った。
しかし、そうやって黙る祢音を見たくないと思った恭介が、無理に明るい口調で話した。
「余り気にするな。俺ももう気にしてないし、それにうちの家族というか、一族はそれなりに仲がよくてな。姉代わりの人間も中にはいるから」
答えにすらなっていないフォローの仕方だということくらいはわかっていたが、それでも何か言わなきゃいけないような気がしていた。
祢音のほうも、やはり少しだけ気が紛れたのだろうか。どことなく不安感はあるものの、確実な微笑みがそこにはある。
「父はSPの仕事をしている。まぁ、国のお偉いさんを護っている仕事だ。俺の家系はこう見えて、かなり有名な武家の家系でな。血族は代々、国の要職の守備についている。まぁ、宗家はとても金持ちでそんなことをしなくても食っていけるみたいだけど」
「へぇ~、そうだったんだ」
「俺は、分家の生まれで、その分家の後継者……のはずだった」
不確定な言い方は、祢音には不快な思いをさせる。
なので、すぐに言葉を続ける。
「俺はそんな家系が嫌で逃げ出した。とは言いがたいが、似たようなもので家を出た。大学を4年で終えて家に戻れと父に言われていたけれど、そんなものを護る気がなかったよ。すぐに大学院への進学を決めた。そして今に至る……満足か?」
何かに悩んだように祢音は顔を何度か動かしていたけれどその視線の先にあるものを見つけた。
その何かに惹かれるように、祢音は体を重そうにあげる。
「恭ちゃん、これは?」
ずずっと、引っ張り出したのは……凶月だった。
正確には、凶月の入った布の袋なのだが、中身を確認しようとしたとき、恭介はその手を強く掴んだ。
「やめろ、祢音。それは……開けちゃ駄目だ」
中には、あの薄青い色をした刀身が詰まっている。
少しだけ強く言った、その言い方に、祢音は明らかな恐怖を抱いていた。
祢音の瞳に宿っている、今の恭介の顔は……とても、怖かった。
自分で見てもはっきりとわかるほど、怒りを顕にしている表情。すぐさま、首を左右に振って、祢音の手を離す。
「……悪い。だけど、それは開けないでくれ」

祢音には、開けてほしくない。他の誰が開けても構わないが、自分のいる前に祢音にそれを開けてほしくはなかった。
「ごめん、恭ちゃん……ホント、ごめん……」
泣き出しそうな祢音の体を、浅く抱いた。
「いや、俺が悪かったんだ。すまない……」
複雑な気分になり、恭介は天井を眺める。その視線の先には、鈍い白色の蛍光灯。
その白さには、どことなく近寄りがたいものを感じてしまう。
祢音の呼吸が落ち着いてきたところで、恭介はその体を離した。
「……今から帰って、十分晩飯に間に合うだろう?今日は、帰ったほうがいい」
ふるふると、首を左右に振る祢音を見て、ため息をつく。
こう頑固になってしまうと、こちらの言うことを聞かないのが祢音だ。
だから、恭介は祢音の側にもう一度寄り添った。

祢音の体温は、すぐ近くに感じられたけれど、今の恭介にとって、気持ちはどんどん離れていくように感じた。