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名の通り、なんらかの企画的読み物です。真面目な討論も中にはありますので、よければ意見などをいただけると幸いです。
シナリオの書き方第二弾『キャラクター』
皆さんこんばんは、この前カラオケに行ったときに歌詞がわからずに歌えなかったinner universeを真剣に歌詞から覚え始めた運命です。
え?あんな声出ないだろって?
いや、普通に出るんですよ、あのくらいの高さなら。
よし、前座はこのくらいにしておくとして、そろそろ皆さんお待ちかね(でもないけど)シナリオの書き方第二弾を開催致します。
今回の議題はキャラクター。
シナリオというか、物語を彩る上でこれほどまでに重要な要素はありません。
話はそこまで面白くなくても、キャラクターが魅力的なら話に引き込むことが出来るとウチは思っています。
事実、魅力的なキャラクターにはたくさんのファンがつき、同人誌などが出来、人気を集めているわけです。
キャラクターを作る上で留意すべき点は、キャラクターの方向性とそのキャラクターの背景です。
ここでは、まったく同じ方向性のキャラクターをいかに書き分けるかということに焦点を置いて物事を語りたいと思います。
ケース1:久遠=E=カナリス
このキャラクターはもともとウチがかなり前に小説で使っていたキャラクターなのですが、今はソードワールドというTRPGでNPCとして活動させています。(もともとは前のPTで使っていたキャラクターでした)
このキャラの方向性は真面目で温厚な敬語系のキャラクターです。
方向性というのは、いわば一つのデータベースに基づくものなので、後半で語るもう一人のキャラもこの方向性を受け継ぎます。
では、次に設定です。
彼女はソードワールドという世界において、神官戦士という職業についています。(これは後半に紹介するキャラクターも同じです)
さらに、以前の冒険から何年か時間も経過しており、もはや熟年と言うべき高レベルの冒険者であります。
ここで、彼女の生い立ちについて語りましょう。これがこのキャラクターを描く上では絶対に必要なものです。
彼女は、もともとはスラム街で生まれ育った孤児でした。生きるためにはどんな犯罪にも手を出し、時には平気な顔をして身体を売ったりもしていました。
他に一緒に育ってきた仲間たちを守るために、文字通り身体を張っているのです。
その後、孤児院に入ることになり、神の啓示を受けて神官戦士となるのですが、それは後日談。
このキャラが真面目かつ温厚なのは、そうした経緯でも自己を喪失せずに仲間たちのまとめ役としてしっかりしなければいけないという意識からです。
そして、敬語に関してですが、彼女は神官となった後に敬語に矯正したので、話し方は多少崩れた、崩し敬語になっております。
以下、台詞例。
久遠:私から見ても、割とちゃんとできていたとは思いますけどね。
久遠:ははは、そんなことを言うと、シアが妬いてしまいますよ?
久遠:それに放浪癖は私が矯正しますし、だらしがないのは根性を叩きなおすという手法
もありますから(すっげぇ笑顔)
これらの例から、彼女は多少お茶目+過激な発言が目立ちます。どうしてもスラムで染み付いた地が抜け切れていない雰囲気を上手く出せていると思います。
あぁあと、このキャラの重要な点としては、多少焦ってくると、崩し敬語になるんです。
例えば……~なんですよ。<コレ
普通の敬語ですと、……~なのですよ。と、こうなるんです。
ちなみにウチは多少崩した敬語が素に近いという人間でもあります。
上だと少し、軽く見えますよね?下はどちらかと言えば堅苦しい敬語。
こういった細かい敬語の使い方も、キャラクターの設定を考えて使用すれば同じ敬語キャラの間でも特徴が大きく出ます。
例として挙げると、SHUFFLE!の芙蓉楓とネリネあたりですか。
芙蓉楓は根っからの崩し敬語、ネリネはお嬢敬語です。
SHUFFLE!は個人的に設定はあまりいただけませんが、個々のキャラクターが非常に魅力的な作品だと思いますよ。
上手く全てのキャラクターを書き分けている手法に関しては、シナリオライターさんに脱帽するばかりです。
話が脱線しましたね。次のケースを出しましょう。
ケース2:シア=ガーランド
方向性は先述した久遠とまったく同一です。
設定ですが、彼女は久遠の弟子であります。だから、上で久遠が彼女を語るときに、多少余裕がある感じがしますよね?
ちなみに、弟子ということで職業もまったく同じです。ただ、決定的に違うのは、育ち。
久遠がトコトン不遇で成り上がってきたのに対し、シアは成り上がりとはいえ中流貴族の娘です。
姉妹もしっかりいます。
なので一見、お嬢敬語かな?と思われるかもしれませんが、実はこの子は久遠よりも多少堅い純敬語を使います。
もちろん、生い立ちの関係上彼女は世間知らずではありますが、久遠に師事して3年の間で家事関係はバッチリ叩きこまれていたりもします。
このキャラが真面目な理由として、世間知らずながらも優秀な姉たちを見て、さらには成り上がりの異端貴族として多少奇異の目で見られてきたわけで、しっかりしなければならないと思っていたからでしょう。
貧しいわけでは決してない。でも、そこまで深く溺愛されてきたわけでもないというほどよい環境が、彼女を温厚で真面目な人格に育てあげたと言えます。
そして、久遠の弟子となり、自己犠牲の精神を身につけた彼女は、大きな失態を犯してしまうのですが……それはまた、別のお話。
では、彼女の台詞の例を挙げてみましょう。
シア:いえ、ちゃんと食べられますよ?ハーブなどで臭みを取れば…。
シア:薬草大好きな人間なんているのでしょうか(苦笑)
シア:安心してください。私はマイリーの神官、あなたが神を信じずとも、私のようなマイリー信者の性分くらいはご存知でしょう?勝手な真似は私が絶対にさせません。神に誓って、絶対に。
シア:今回に至っては、目的が非常に怪しいと思いませんか?使用用途を聞いても、どのような患者に使用するのか教えていただけなかったのでしょう?
これらの台詞例から、シアちゃん普段はまったりとした女性。でも、信仰深さを表に出し、自分が神官であることに誇りを持っています。
さらには、冷静な洞察力も持っていることが彼女の利点であります。
久遠のように思考を頭に止めるのではなく、表に曝け出すのは貴族の娘という面での少しばかりのワガママなのかもしれません。
あと、決定的な違いは、久遠は状況に応じて臨機応変に態度を変えるのに比べ、シアはそれが極端に下手なんです。
自分の考えを逸脱した話……まぁ、セクハラとか受けたときに固まったり真っ赤になったりしてそういう反応が楽しめる子ですね。久遠は冷静にツッコミますが。
同じ方向性、似たような性格のキャラクターでも、このように意識の仕方を考えるだけで、まったく別物のキャラクターになってしまいます。
もちろん、これは人物を描くという点では必須の事項です。
昨今のキャラクターの使いまわしなどは設定と性格の密接な関係がないからだと思うのです。
設定=性格の図式が成り立てば、同じようなキャラクターが生まれることはないに等しいです。
なぜなら、人というのは一人一人違うものなのですから。
広告の裏:最近、ホントにキャラの使いまわしって多いですよね。具体的な例は挙げませんが今期アニメになった某ゲームとか、ラノベにも似たようなキャラクターは多いと思います。文章を書く上でキャラクターを使いまわすというのは恥だと、自分は思っています。王道キャラでも、細かい動作、台詞の端々で違いを出すことが、自分の中での文章書きとしての究極だと思っています。以上、最後はくだらない話をしてしまって申し訳ありませんでした。
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